例えば立ち上がり動作で腰痛がある場合に、その原因として骨盤の変位と肋骨の変位が見つかったとする。どちらが主でどちらが従か?
プライマリードライバーの見つけ方としては、試験的に一方を徒手的に修正して他方も修正されればそちらが主であると考える。多くの場合、肋骨が主で骨盤が従であり、それを結び付けているのが腸肋筋のスパズムである。そして肋骨の修正(リリースやモビライゼーション)をすると骨盤の変位も自然と修正され、この仮説が正しかったことが証明される。
理論的にも納得でき、臨床的にも確認できるので非の打ちどころがない。しかし実は従であった骨盤を修正しても肋骨は修正されるし、それを結び付けている腸肋筋のスパズムを取っても両者が修正される。結局3者に相互関係があるだけで主従(因果)関係はなかった。
注)ジレサインと記載しているが正確にはDiane Leeが行っているのは、片足立ちでの立脚側の寛骨前方回旋を陽性と判断するLoad Transfer
Testである。本来のジレサインは挙上側の寛骨が後方回旋しない場合を陽性と判断する方法で、仙腸関節のhypo-mobilityが原因とされている。しかしどちらの検査も腰腸肋筋の筋スパズムを取れば陰性になる。