ケーススタディーの一例

 症例課題1 腱板損傷の事例


 57歳男性で2か月前より左肩の痛み有り、近医を受診して腱板損傷の診断で物理療法のみ受けていたが、改善ないため来院。

【問診・観察】
 初診での印象はやや肥満傾向で円背姿勢、少し疲れたような表情であった。問診では痛みは安静時も時々あり、頭を洗う時が特に痛いとのこと。仕事は介護施設の施設長で最近は人手不足のやりくりに苦労していると話される。
 現病歴は特に受傷機転は無く、ある日急に痛みが出てきたとのこと。当初はかなり痛かったが最近は落ち着いてきている。仕事で介護の手伝いをすると痛みは増強する。その時はロキソニンを服用すると楽になる。既往歴は高血圧があるが特に治療を受けていない。

Q1.レッドフラッグについてまとめなさい。またこの方に可能性のある疾患を上げなさい。
Q2.イエローフラッグについてまとめなさい。
Q3.痛みの経過から病理的変化を予測しなさい。
Q4.消炎鎮痛薬としてステロイドとNSAIDsについてまとめなさい。

【検査・測定】
姿勢は円背で肩甲骨は外転、下制している。両手を拳上してもらうと左に中等度の有痛性の制限があり、肩甲骨挙上が著明であった。

ROM-t(右、左):肩関節屈曲160°、100°p 外旋70°、30°p 内旋60°、45°p
End feel:左側は全てempty(抵抗を感じる前に痛みの訴えで動かせない)であった。
Joint play:肩甲上腕関節で前後および離開でhypo-mobility、肩鎖関節ではhyper-mobility
MMT:全方向3レベルで痛みを伴った。
触診:肩峰付近に軽度の腫脹、筋スパズムは僧帽筋上部、棘下筋、小円筋、三角筋前部、上腕二頭筋に認められた。

Q5.姿勢と肩関節の運動の関係について述べなさい。
Q6. End feel とJoint playについてまとめなさい。

【治療】
徒手療法では筋スパズムに対しMTA(マイオチューニングアプローチ)、関節可動域維持目的で自己自動介助運動、腱板筋の筋力維持目的のカフ・エクササイズを指導した。

Q7.なぜストレッチをしないか述べなさい。