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約30年前に臨床に出て一番悩むことが多かったのが「痛み」でした。痛み自体も問題ですが、それに伴う可動域制限や筋力低下も患者さんのADLを阻害する要因となっていました。しかし学生時代に習った内容は痛みに対しては本当に無力でした。ここから自分の勉強が始まりました。
当時有名になっていたAKAやマイオセラピー、関節モビライゼーション等のセミナーを受講して技術を身に着けていきましたが、それでも治せない患者さんがいらっしゃる。そこから民間療法の勉強も始めました。またセミナーで習った技術が臨床でいかに使われているかを知りたかったので、あちこちの病院の見学にも行きました。自分だけが患者さんを治せないのではという不安もその行動を駆り立てました。
本当の痛みの原因は何なのか?どうすれば治せるのか?その納得がいく答えを探し続けていました。それと共にだんだんと答えは患者さんが教えてくれることにも気づきだしました。どんな科学的な根拠より、偉い先生のアドバイスより、自分の経験則より、目の前の事実が真実である。その治療方法が正しいかどうかは患者さんが良くなったかどうかで判断するしかない。そしてその方法が個別の適応なのか、普遍的に使える方法なのかを多くの患者さんに使っていく中で見極めていく。昔から言われている「患者さんが教科書である」という意味がやっと分かってきました。
このアカデミーでお伝えする「統合運動器Taijikuセラピー」は数多くのセミナー、書籍・論文、諸先輩のアドバイスと自分の臨床経験を元に成り立っています。まだ未完成ですが数多くの痛みで悩んでいられる患者さん、そしてその治療に対して悩んでいられるセラピストのために少しでも役に立てればと思い、伝えていくこととしました。この場を借りて講師の先生、書籍・論文を残してくれた先人、諸先輩、職場のみなさん、議論を交わした勉強会の仲間、そして多くを学ばしていただいた患者さんにお礼を申し上げます。
統合運動器Taijikuアカデミー 冨田義之