筋力増強運動は膝OAの発症や進行を予防できるのか?

筋力増強運動は変形を予防できるのか論文を当たってみたところ、1つだけ見つかった。


変形性膝関節症の発症と進行に対する筋力増強運動の効果
Effects of Strength Training on the Incidence and Progression of Knee Osteoarthritis
Alan E. Mikesky, et al, Arthritis & Rheumatism 55, 2006, pp 690–699

【対象】221名の高齢者
【方法】
• 対象者を性別、X線上の膝OA変化の有無、膝痛の程度により分類し、無作為に筋力増強運動群(ST)と関節可動域運動群(ROM)に分けた
• 週3回の運動を12週間、その後自宅での運動を12か月継続
• ベースラインと30ヶ月後に下肢筋力(等速性)、膝X線写真を評価
【結果】
• 筋力は両群とも低下していたが、筋力増強運動群の方がその程度は少なかった
• 変形のあった対象者では筋力増強運動群の方が関節狭小化のグレード増加者は少ない傾向にあったが、逆に関節裂隙の最小値は小さい傾向で、誤差の指標の0.50mm以上の狭小化があった人の数や骨棘の増加は差がなかった。
• 変形の無かった対象者では筋力増強運動群の方が0.50mm以上の狭小化があった人の数が多く、その他の項目は有意差がなかった。
• 変形のあった人もなかった人も痛みの増強程度は運動療法による違いはなかった。
• 機能障害は筋力増強運動群の方が徐々に軽減していく傾向にあった。
【まとめ】
• 筋力増強運動により筋力低下は抑制でき、機能障害も軽減できる
• しかし痛みの軽減には効果なく、変形の進行も抑止できない
• また変形の無い人においては変形の進行を促す可能性もある

 

この論文から筋力が強くても変形を予防できないし、悪化させる可能性がわかってきた。これはなぜなのだろうか?