膝OAの新しい常識

• 健常者では筋力が弱い方が膝の症状が出現しやすいが、変形の出現率は変わらない
• 膝OA患者では女性のみ筋力が弱い方が変形は進行しやすいとの報告があるが、筋力と変形は関係しない報告、逆に筋力が強い方が進行しやすいとの報告もある

• 筋力増強運動は変形の進行を抑止できないし、変形の無い人においては変形の進行を促す可能性もある

• 膝OA患者では大腿四頭筋の筋力は歩行時の荷重衝撃と関係しない
• 荷重衝撃が大きいのは変形が少なく、歩行速度が速く、踵接地時の膝屈曲角が大きい場合(すなわち膝OA患者より健常者の方が荷重衝撃は大きい)
• 膝OA患者は歩行速度を落とし、接地時の股・膝・足関節の屈曲モーメントを小さくする歩き方を選択している(膝OA患者の床反力は健常者より大きくない)

• 膝OA患者の大腿四頭筋の筋力と膝内反モーメントは相関しない
• 膝OA患者の内反モーメントが大きいのは、床反力は小さいので、内反変形が大きいためだけ(軽度膝OA患者の内反モーメントは健常者と変わらない)
• 膝OA患者は膝を内反するより外反する方が痛みを生じる人が多い

• 膝OA患者では歩数が多いほど歩行速度低下やWOMAC悪化のリスクは減少する
• 軽度の膝OAまたはそのリスクのある患者の歩行量と内側軟骨の減少幅は関係ない
• 軽度の膝OA膝またはそのリスクのある患者の歩行速度(荷重衝撃の大きさと関係)と内側軟骨の減少幅は関係ない
• 力学的ストレスが軟骨の変形を引き起こすのではない

• 大腿四頭筋の筋力増強運動は痛みを軽減するが、膝内反モーメントは減らない
• 中殿筋の筋力増強運動は痛みを軽減するが、膝内反モーメントは減らない
• 筋力トレーニング、ストレッチ、協調性練習を中心とした運動療法は痛みが中等度、Disabilityが軽度改善するが、持続効果はない
• SLRでの筋力増強運動は先に痛みが軽減し、後から筋力が増える